2022年1月27日に、日本スポーツ協会公認アスレチックトレーナーの養成カリキュラムの改訂に関する情報が公開されました。
今回は自分のJSPO-ATに対する認識を新たにするため、現在情報が得られている範囲で新旧のカリキュラムの情報を比べてみたいと思います。
現行のJSPO-ATカリキュラムに関して
日本スポーツ協会の公認ATのカリキュラムは1994年に開始され、現在のカリキュラムは2006年に改訂されたものです。
私自身も自分を振り返る上でJSPO-ATに関して情報を整理ましたが(詳しくはこちらやこちら)
その情報は2006年改訂のカリキュラムの情報という事になります。
今回、新カリキュラムの情報と比べみるのは「ATの役割」と「専門科目の内容」に関してです。
では、まずは現行のカリキュラムにおけるATの役割に関する内容を確認してみたいと思います。
・スポーツ外傷・障害の予防
山本利春,日本体育協会アスレティックトレーナーの役割,公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト1,p29,公益財団法人 日本体育協会,2017.
・スポーツ現場における応急処置
・アスレティックリハビリテーション
・コンディショニング
・測定と評価
・健康管理と組織運営
・教育的指導
各項目の詳しい説明は以前の投稿をご参照ください。
そして、JSPO-ATの養成課程では他の公認スポーツ指導者と共通した内容を学習する「共通科目」とアスレティックトレーナーに関して専門的に学習する「専門科目」を学んでいきます。
細かな内容を説明する事は難しいので、現行のカリキュラムにおける専門科目の内容を大まかにご紹介します。
上で挙げたATの役割の項目に関する内容に関して、600時間のカリキュラムを通して学んでいきます。
ちなみに専門課程を学ぶ養成講習会は、JSPO、JSPO加盟団体(都道府県体育・スポーツ協会、中央競技団体等)及びJSPOが特に認める国内統轄競技団体から推薦され、受講者選考基準を満たす者が毎年100名程度選ばれて受講します。
私の場合は佐賀県スポーツ協会の推薦を得て養成講習会を受講しましたが、推薦の基準は各都道府県や競技団体ごとに異なります。
また、JSPOがカリキュラムを承認する大学・専門学校等で所定の授業を受けて単位を取得する事で、養成講習会を受講しなくても検定試験の受験資格を得る事が出来ます。(免除適応コース)
どちらの道のりでも、最終的に検定試験に合格しないと資格は取得できませんが、JSPO-ATの資格の取得を目指している方は今回のカリキュラム改訂に関する今後の動向には注意すべきかと思います。
新カリキュラムに関して
前回のカリキュラム改訂から15年以上を経て、2022年の4月から新たなカリキュラムでの養成がはじまると情報が公開されました。
詳しくは日本スポーツ協会のATインフォメーションから確認できますが、今回は特に「ATの役割」と「専門科目」に関して現行のカリキュラムと比べてみたいと思います。
では、まずはATの役割に関して確認してみたいと思います。
JSPO-AT は、1)スポーツ活動中の外傷・障害予防、2)コンディショニングやリコンディショニング、3)安全と健康管理 、および4)医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応という4つの役割に関する知識と実践する能力を活用し、 スポーツをする人の安全と安心を確保したうえで、パフォーマンスの回復や向上を支援する指導者です。
ATカリキュラムの改訂について,日本スポーツ協会(2022年2月15日参照)
https://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid1344.html
まず細かい話ですが、最初の一文に「JSPO-ATは」とあります。
今回の改定のポイントとして「JSPO-AT」という言葉と「AT(概念としてのアスレティックトレーナー)」という言葉を意識して使い分ける。という内容がありました。
以前の投稿でも、「トレーナー」「AT」といった言葉に関しては定期が曖昧であるという話をしています(詳しくはこちら)
実際に、養成講習会の中でどのような説明があるのか、詳しい内容は分かりません。
しかし、日本スポーツ協会として「ATに関する用語の定義を明確にしていこう!」という姿勢が見受けられるので、大谷個人としては非常に興味のある部分です。
そこから、JSPO-ATの役割が4つに分けて述べられています。
1)スポーツ活動中の外傷・障害予防
2)コンディショニングやリコンディショニング
3)安全と健康管理
4)医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応
文言としては、「アスレティックリハビリテーション」「測定と評価」「組織運営」「教育的指導」という言葉がなくなり
「リコンディショニング」という言葉が増えています。
「アスレティックリハビリテーション」と「リコンディショニング」の関係に関しては以前の投稿で言及しています(詳しくはこちら)
しかし、これらはあくまで大谷個人の見解なので、今回の改定でこれらの用語がどのように扱われているのかは分かりません。
「測定と評価」に関しては、JSAPO-ATの役割としては記載がありません。
しかし、「測定と評価」は新カリキュラムにおける学習内容に含まれています。
あえて役割として記載する必要もないだろう、ということではないでしょうか。
「組織運営」に関しては、AT云々の前に社会人として人の中で生きていく以上当たり前の事だと思いますし
「教育的指導」に関しても、JSPO-ATが公認指導者資格の1つであり、他の公認指導者資格と共通した科目を学習する中で、指導者としてのあり方を学んでいくので、わざわざJSPO-ATとしての役割には記載しなかったのではないかと個人的に考えています。
また、JSPO-ATのカリキュラム改訂に関するポイントとして以下のような記載がありました。
知っておくべき「知識」とJSPO-ATが「できること」を意識・区別。特に医療資格者が行うべき行為(例:マッサージ、特定診断検査法)は、JSPO-ATとして業務を遂行する上で必要とされる情報として整理記載し、その場合でもJSPO-ATが実施できる範囲をわかるように記載する。
ATカリキュラムの改訂について,日本スポーツ協会(2022年2月15日参照)
https://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid1344.html
この辺りも、医師をはじめとする医療資格者の業務との職域を明確にしていこうという流れなのかと思います。
現状、JSPO-ATの業務内容はグレーゾーンが非常に大きいと思います。
今回の改定の内容を十分に把握しておかないと、今後自分自身の活動内容が第三者から問われる事にもなりかねません。
この点に関しては、自分自身の身を守るためにも今後情報収集していかないといけない部分だと思います。
また、専門科目のカリキュラムに関しては上記JSPO-ATの役割に準じたものとなっていました。
改訂まとめ
とりあえず、私が現在ATカリキュラム改訂に関する情報を確認した限りで、今後詳しく情報を得たいと思ったのは以下の内容です。
- 「JSPO-AT」「AT(概念としてのアスレティックトレーナー)」という言葉の定義に関して
- 「アスレティックリハビリテーション」「リコンディショニング」の用語の定義に関して
- 医療資格との兼ね合いの中で、JSPO-ATとして何が「できること」と定義されるのか
あくまで、現状は概要やシラバスが参照できるくらいなので、細かな学習内容やJSPO-ATとしての業務の規定内容は分かりません。
上記以外にも、JSPO-ATとして知っておかなくてはいけない情報があると思うので、新カリキュラムに関しては今後も情報収取を続けていきたいと思います。
さいごに
今回の内容は、日本スポーツ協会からの情報提示を確認したうえでの私の個人的な感想となります。
私の御世話になった佐賀県スポーツ協会でも、そろそろ今年度の推薦者を決める時期だと思います。
これから新カリキュラムを受講するJSPO-AT受講生の方々は、大変な部分もあるかと思いますが、私は羨ましくも感じます。
今回の改訂はブログを書こうと思わなければ、私は気付くのがもっと遅かったはずです。
今後も、世の中に置いて行かれない様に常にアンテナを張って情報収集していきたいと思います。